年を重ね、いよいよ体力が落ちてきた。と同時に自分の店の売上もやはり落ちてきた。
このままじゃヤバい。店を畳むにしても、次の仕事決めなきゃ。色々考えた結果、いわゆる対面の保険販売(保険の窓口的な)が良いんじゃないかと考え、ここかなってところに面接に行った。何だかものすごく豪華な受付。
「場違いじゃないのか?」と思ったが、面接を断られる会社もあるくらいの年齢だ。とりあえず面接。
「では、次回は社長面接になりますので、よろしくお願いします。」
えっ!一時面接通過した。マジか?絶対場違いだと思ってた。
そして、社長面接「初めまして、代表のKです。」凄いオーラだ。いわゆるカリスマ社長というらしい。入社後、面接担当のHさんと話す機会があった。
俺「どうして採用してくださったんですか?」
Hさん「一次面接のときは白髪染めてなかったでしょ。でも社長面接の時、ちゃんと染めてきた。こいつは本気なんだなって思ってた。あなたがしてきた苦労。社長も見抜いたみたいよ。」
このカリスマ社長は、たくさんのワードを生み出し、俺たちに教えてくれた。中でも今でも忘れられないのが、「自責と他責」
他責は読んで字のごとく、他人を責めるということだ。何か問題が起きた時、まず他人や自分以外に問題があると考える思考回路が他責だ。
環境が悪い、タイミングが悪い、場所が悪い、あいつの考え方が悪いって感じ。
自責も読んで字のごとく、自分を責めるということだ。何か問題が起きた時、まず自分の行動を振り返る。他責とは対象的に、何か自分に問題があったのではないかと考える思考回路が自責だ。
自分の伝え方が悪かったんじゃないか、自分の態度が悪かったんじゃないか、自分の考え方が悪かったんじゃないかって感じ。
少し、今までの自分を振り返ってみた。俺って他責人間だったんじゃないか?売上が落ちたのは時代のせい、テナントで入っている店の集客のせい、地域性のせい。そんなことを思い出した。何でも周りのせいにしてたとこあったかも。
社長「もし今まで自分が他責人間だったと思う方、今この瞬間から自責人間に変わってください。そうすればきっとお客様に寄り添うことが出来るでしょう。お客様は様々な悩みを抱えて来店されます。そんな時に他責人間では寄り添うことが出来ません。自責人間だからこそ、お客様の悩みに真摯に向き合えるんです。」
社長の言葉はたくさんあったが、どれも心を見透かされたような言葉ばかりだった。さすがはカリスマだ。俺もあのときは一信者だったが、残念ながら営業には全く向いていなかったらしく、全く成果を残せないまま業界を去った。だが、今でもあのカリスマ社長のたくさんの言葉は深く胸に刻まれたままだ。