若気の至りとはよく言ったものだ。
当時21歳。佐川急便に勤めていた。今では考えられないが、この頃はまだ飲酒運転に大甘だった。
先輩の結婚式の二次会に車で参加した。この時点で既におかしいのだが、ほとんどの参加者が車だった。それほど飲んではいなかったが、仕事の疲れもあったのだろう。自宅に戻っている最中、猛烈に眠くなった。正常ならここで仮眠を取ってとなるところだが、その判断が出来ない状態だった。
ドンッ!!!ガガガガ!!!
物凄い音と、衝撃で目を覚ました。
おかしい。車の上下が反対になってる。
「だっ、大丈夫ですか?今、警察呼びますね!」
何だ?何が起こった?しばらく判断出来ない。
上下反対になったドアを開ける。
え?どうなってんだ?
畑に車が逆さまになって突っ込んでいた。
え?俺生きてるよな?
信じられないことにシートベルトもしていなかった。
(この頃はシートベルトの規制もまだ緩かった。)
なのに無傷だ。
どうやら、向かいのセブンイレブンの店員さんが警察を呼んでくれたらしい。
事情聴取
警察「酒臭くないか?飲んでない?」
俺「飲んでないです。ただの居眠り運転です。」
(この頃はこれが通用する時代だった。)
結果、車は全損。廃車だ。親父が新車で買ってくれたホンダのプレリュードだった。
とんでもないドラ息子だ。
夜が明けて、通勤の時間帯になった。通行人やバス、一般車がジロジロと撤去作業を見ている中、みじめに立っていた。
何で無事だったのかの話になり、少し前に亡くなったばあちゃんが守ってくれたんだよという結論に至った。あの事故で、シートベルト無しで無傷なんて、本当に信じられない。
という、若気の至りエピソードでした。