保険の仕事をしていた時代、この「生老病死」という言葉に出会った。
当時はカリスマ社長が編み出した言葉だと思っていたが、実際は仏教用語らしい。
「生老病死」
しょうろうびょうし 仏教の言葉で、人間に定められた四苦。 人間に必ずやってくる四つの苦しみのこと。 すなわち、生まれ、老いて、病気になり、そして死ぬこと。
これを保険の考え方として、お客さんにプレゼンする時に用いていた。初めて聞いた時、ぐんぐん引き込まれてかなりためになったので共有してみる。
以下、プレゼン。
「生老病死」という言葉があります。何もかも全て保険で賄うというのは現実的ではありません。なので、これから話す内容のどこを自分は重視するかと考えながらお聞きください。
まずは「生」
人は生きていく上で必ずまとまったお金が必要になることがあります。
例えば子供の学費。大学入学時には入学金などのまとまったお金が必要になります。これを保険で備えようとするならば「学資保険」というものがあります。ただし、10年、20年前の利率が良かった時代と違い、利率が悪くなった今、あまり現実的ではありません。
次に「老」
人は必ず老いていきます。最近は元気な老人も多くなりましたが、老々介護という問題が起きているのも事実です。先程の学費は大学卒業という明確な終わりがあるのに比べ、終わりが全く見えないのが介護の恐ろしいところです。国の介護保険制度である程度はカバーされますが、全てはカバーできず、どうしても自己負担が発生してしまいます。この自己負担分を保険で備えようとするならば「介護保険」というものがあります。
次は「病」
人は病気になると、当然治療費や、入院費がかかります。これに備えるのが「医療保険」です。毎日テレビなどで見ない日はないほど、多くの保険会社が「医療保険」のCMを流しています。ですが、果たして「医療保険」は病気になった時、助けになるのでしょうか?多くの方が誤解されていますが、「医療保険」はあくまでも入院と手術の費用だけしか賄えません。確かに昔は大きく切って長期入院が当たり前でした。なので、その当時はある程度まとまったお金を手に出来ました。しかし現在はほとんどの病院が小さく切って短期入院。日帰り手術なんて言う言葉も出てくるくらい、入院の日数はどんどん短くなってきていて、手術費用だけなんてこともあります。入院が短くなっているということは、その後の通院が長くなっているのですが、通院を全て賄えるような保険はほとんどありません。
ここで一つ考えて頂きたいことがあります。この通院治療ですが、お仕事をしながら通院できる病気ならまだいいのですが、それが出来ない。つまり仕事が出来なくなり、なおかつ通院治療が必要なケースがあります。いわゆる「大病」なのですが、「大病」と聞いて何か連想される病気はありますか?
客「ガン、とかですかね?」
そうです。ガンももちろんそうです。今や2人に1人がガンになると言われています。私とご主人、どちらかがガンになる。そんな確率です。ガンももちろんですが、「三大疾病」という言葉があります。ガン、脳卒中、心筋梗塞これらをまとめた言葉です。これらの病気の本当に恐ろしいところは、高額な治療費がかかるにも関わらず、仕事が出来なくなり、収入が途絶えてしまうところです。
つまり、「医療保険」ではこの収入減という大きな穴を塞ぐためには全く役に立たないんです。「病」で一番塞がなければならないのは、働けなくなることのリスクなんです。
最後に「死」
人は必ず死にます。変な言い方ですが、死んでしまえば住宅ローンも支払い免除になりますし、残された家族には遺族年金と言うかたちで国からお金が出ます。心配するとしたら葬儀費用ぐらいでしょうか。この部分を賄う「死亡保障」を謳った保険のCMもまた、多く流れていますよね。
さてここまで聞いてどの部分のリスクを保険で賄いたいとお考えですか?
といった流れだ。学資保険や医療保険を探しに来た客や、そもそも保険ってどうすればいいの?と言った客のマインドを
「医療保険では病気の時に役に立たない」→「収入減を埋めなければならない」
と気づかせるためのプレゼンだ。これを聞いた多くの客が、
「収入保障保険」→死んだ後の学費と生活費を捻出(掛け捨て)
「医療保険」 →入院、手術費用を捻出(掛け捨て)
「三大疾病保険」→三大疾病になったら一時金を受け取る(貯蓄型)
運良く何事も無く老後を迎えれば、
支払った以上のお金が保険の中に貯まっている
の三本柱を契約して帰っていく。そうすると、3種類の保険を契約するわけだが、大抵の場合、というかほとんどの場合、3種類とも別の保険会社になる。これは保険業界の常識だが、一つの保険会社が全ての種類の保険が得意なんてことは絶対に無い。必ず得意不得意があって当たり前だ。そんな時のための保険ショップだ。何社になろうが、客はこのショップの電話番号さえ覚えておけば、保険の管理は全て任せられる。電話一本で全ての保険会社の住所変更だったり、銀行口座の変更、もちろん保険金請求などなど、全てやってくれる。それが保険ショップを利用する最大のメリットだ。